2006年2月16日「朝日新聞」朝刊
岩崎賢一、鈴木暁子氏による署名コラム
「失業者住宅手当利用4%」「国予算700億円計上」
記事抜粋:
「家を失った失業者が住まいの心配をせずに就職活動ができるようにと、厚生労働省が昨秋から始めた住宅手当給付制度が不人気だ。」
「同制度は麻生政権が2009年春、近づく総選挙をにらんで打ち出した失業対策の一つ。鳩山政権もこれを継承し、10月に募集を始めた。」
以下制度運用の実態報告が続く。制度運用についての分析は妥当だと評価する。問題としたいのは、制度を開始した目的である。
「近づく総選挙をにらんで打ち出した失業対策」というのは本当か。その根拠は奈辺にあるのか。提案理由に「選挙もあるし」といった文言でもあるのか。
あるいは提案者が非公式の場ででもそれを意識した発言でもしたのか。
署名者に伺いたいものである。それが明確にされなければ、これは憶測であり、客観的・公平な記事ではないといわなくてはならない。
翻って言えば、昨秋から民主党政権が継承した現行制度のみが「家を失った失業者が住まいの心配をせずに就職活動ができるように」という目的なのは、故意に自公政権での失業対策を貶める目的で書かれた記事であり、単純な民主党に対するちょうちん持ちと非難されても仕方がない。
2009年春というのは、現行派遣法が、工場派遣について設けた「3年」の期限が初めて到達した時期である。派遣元も派遣先も、3年目が来た派遣社員をどう扱うか、苦慮していた。
回復基調が明確にならない状況で、前年末に見られたような派遣切りによるホームレスが大量に発生する恐れも予想された。麻生政権でなくとも、この事態に何らかの手を打つ必要があった。それとも選挙がなければ麻生政権はそんなことには見向きもしなかったとでも言うのであろうか。
昨年秋、民主党政権が同政策を継承したのも、目前に年末が控えていたからである。できれば民主党政権らしいオリジナリティのある対策を打ち出したいところであったろうが、その時間的余裕はなかった。それが結局は利用率が悪い結果となって跳ね返ったのだと思う。
派遣の世界における2009年春の危機についてご両人は知らなかったのか、お忘れになったのか、はたまた重大な問題とは思われなかったのか。
権力のあら捜しで権力批判だと思っている、無責任なマスコミの評論家体質を見せつけられた思いである。
hcho ( 2010/02/21 13:43 )